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ほっとする、安心できる、
アットホームな女子学生専用学生寮です。

館長ひとりごと

2024-02-21
今日は昨日より10℃以上も気温が下がり(昨日が異常だったのです)雨がそぼ降る東京です。
今度の日曜日に国立大学を受ける学生さんは体調に気を付けてくださいね。

男女逆転の「大奥」で有名なよしながふみ先生の
フラワー・オブ・ライフを読みました。随分と前の連載作品なのですね。読んだことがなかったです。リアリティのある、ちょっと可笑しくやがて哀しいような高校生活が描かれています。人生の花、学生時代、、、まあ、いろいろな方がいるでしょう。学生時代は虐められて、ちっとも楽しくなかったという人もいると思います。
この話は白血病で一年遅れた、陽キャラの春太郎が高校に編入するところから描かれています。
春太郎、三國くん、真島くんなどそれぞれキャラがたっています。特に真島くんみたいなキャラはどこの学校にも一人は居そうです。何を考えているかわからない、いろいろ拗らせているかもしれない、無愛想で毒舌で情け容赦もない生徒。
中学、高校の時など今は反抗期のない子供さんもいらっしゃるそうですが、大人にとって、また他人にも思いやりがあるようで情け容赦のない年ごろだと私は思います。
たぶん潔癖なのかもしれません。
この作品の登場人物は皆、面白いのですが、転校の多い山根さんなんて、私はかなり好きです。山根さんはできている人で、尊敬してしまうくらいですが、まだ子供なのにそんなに自分を抑えていていいの?と心配してしまいます。山根さんは終始、空気を読んで穏やかです。きっちりしているし、本を大切に扱うところも大変良い。

面白い日常系のわちゃわちゃした話でもあるのですが、春太郎の命の確率が出てきたところで暗転する感じがします。
仕事場での人間関係に疲れやすくひきこもっている優しい姉、母が海外赴任のため、美味しい料理を作って待っていてくれる姉に、「死ねば」なんて春太郎は勢いで言ってしまうのですが、自分が白血病サバイバーとなって「死」という言葉を冗談に使えるようになってしまった、、と自覚するころから、この暗転は始まっていたのかもしれません。
最初金髪で登場した春太郎は文字通り暗転して、黒い髪に戻して高校二年生の春を迎えます。

まあ、高校生の日常生活を描いているようで、最後何かずしんと重いものが心にひっかかるのですが、これが作者の書きたかったことなのかもしれませんね。
日常のなかに、人生の花も、重たい哀しみも確かに存在しています。

6階館長室の玄関前の壁に物掛けがあります。
それをいつも見るたびに、父の姿が浮かんできます。楽しそうな姿です。そこには、散歩に出かける時に使っていた帽子二種類と昔の人が農作業に使っていたような菅笠があります。
あの菅笠は内部に輪があって、ちゃんと頭が蒸れない工夫がしてあり、夏かぶると快適そうです。父が旧甲州街道沿いの昔からの荒物屋で手に入れた時、私たちは笑って見ていました。
おもしろうてやがてかなしき、、とはまさにこういうことを言うのかなと私は玄関を出るたびに思います。

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