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ほっとする、安心できる、
アットホームな女子学生専用学生寮です。

館長ひとりごと

2023-09-05
今日はまた、朝からカッと晴れている東京です。
朝晩は風が吹いていくぶん涼しくなった気がしますが、残暑というのか夏がまだ終わっていないというのかとにかく暑いですね。それでも、時折、ころころと虫の音も聴こえます。
芸術の秋なのですが、趣味で始めたはずのピアノの練習がきつくて仕方ありません。
もう腕が落ちているというのに、昔は弾けたはず、、、とか、ついつい理想ばかり高くなり、この暑さと孤独な練習に耐えるのが難しい。
今、またブラームスの深い怒りが滲むようなラプソディーとバッハの平均律の練習をしています。譜読みはバッハのフーガなどは複雑で難しいのですが、峠を越えると機械的練習をして淡々と弾けるのでバッハを練習するのは楽しいです。が、ロマン派の音楽となるとその静謐さが失われてしまいます。
特に今の曲はほぼずっと両手のオクターヴで構成されているので音量もすさまじく、また、ブラームスが描きたかっただろう暗く重い怒りのような情念を弾き切ろうと思うと疲れ切ってしまいます。
でも、反対に感情を込められるからこそ楽しくもあります。
ピアノを弾いているとまず浮かんでくるのは両親の姿です。私が育った環境ではビアノ学習は当たり前のことでしたが、その後、就職してから出会ったりした人たちの中には、そうでない人もいて、現に主人などは男子のこともあり、習いたくても習えなかったようです。主人も社会人になってしばらくピアノを習ったりしましたが忙しくてやめました。私の古くからの友人も進学するにも条件付きで、ピアノなど習えなかったそうです。大人になって楽しそうに練習していた姿が思い浮かびます。
私にとっては、ピアノは幸せな子供時代の象徴でもあり、今もまだくすぶり続ける人生に対しての怒りのようなものが、ブラームスの激しい作品に惹かれる理由かもしれません。

学生会館に入れる学生さんは、とても恵まれていると思います。今はその恵まれた立場に居続けることが居心地悪く感じることもあるかもしれません。ご両親と対立することもあるかもしれません。でも、恵まれた環境を用意してくれた、ご両親の気持ち、愛情などが人生の旅路を歩き続けるにつけ、深いものだったと気づく時が来るかもしれません。
私も感謝の気持ちを伝えることが遅すぎました。反省しながらピアノを孤独に練習しています。

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