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調布女子学生会館便り

調布女子学生会館便り

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理想と現実

2021-04-06
五島列島教会群
昨日、国際社会学部の学生さんと少しお話をしました。調布女子学生会館では一番東京外国語大学の方が多いので、やはり皆さんの夢は国際貢献なのではないかと思います。

私事で恐縮(^^;ですが、私は小さなころから誰に言われるまでもなく本を読んだり絵を描くのが好きでした。小学生の時に家にあった世界文学全集と古典全集のめぼしいものは殆ど読んでしまいました。ですから、将来の夢は?と聞かれた時にはぼんやりと「小説家か絵描きになりたい」と思っておりました。
中学3年生のころでしょうか、NHKのドキュメンタリーを見て、医療のない貧しい国の少女たちが14歳くらいで結婚、出産し命を落とすことが多いということを知り、ちょうど将来の進路について考えなければならない時期でしたので(中高一貫校でした)、単純な私は医師になりたい!と心に決めました。
もちろん実家は医師でもないし、私立の大学は最初から想定外。東京の医学部のある国立大学、、、となるとかなり限られますよね。
結果的に医学部進学はもちろん叶わず、薬学部進学という道もあったのですが、もともと理系の科目では好きだった生物を学びたいと理学部の生物専攻となりました。
それでも心の隅には医学部への道は断ちがたくくすぶっており、同期の何人かは実験にも参加しながら他の国立大学の医学部を再受験して見事に合格しました。

私のうちは父がとても保守的で男尊女卑で、でも母は私の自立を応援してくれていたと思います。

昨日学生さんと話して、昔の夢に希望を膨らませていた自分が戻ってきたような気がしました。
もちろん、学生さんにはそれぞれの夢を叶えて欲しいです。

夕方から、いろいろな問題がおこり、私も考え込んでしまうようなことがありました。

学生さん同士も大きな社会貢献も良いけれど、身近な人たちへの優しさを忘れないでほしいな、、と思ったのです。

もちろん私もです。マザーテレサは本当に良い言葉を残しておられます。まず家族を大切にしてください。

イエスも言いました。汝の隣人を愛せよ。

家族を守るためだけに働いている(ように見える)大人は若い人には魅力的にうつらないかもしれません。

でも、大きな若い時の夢が叶ったとしても、今の現実の暮らしでのささやかな愛や夢も、本質的には同等なのではないか、と思ったのです。

俺の家の話

2021-03-29
多摩川の桜
衝撃的で切ない終わりを迎えた、ドラマ「俺の家の話」が話題です。
以前の文章でも、愚息がクドカンのこのドラマで能を鑑賞する気になったことを書きました。

切ない最後ですが、長瀬さんはこの作品を最後に俳優として引退し、音楽プロデュースに専念するらしいですので、そのことも踏まえると納得いたします。
また、お能の世界をよく幽玄、と形容いたしますが、お能に幽霊はつきものです。
ここでも宣伝(^^;してしまいますが、古山和男先生の「明治の御世の坊っちやん」(春秋社)にも能と物語の融合が書かれていますが、俺の家の話は「隅田川」をベースにしているようですね。
橋を渡ると其処は異世界、幽霊も鬼も彼岸から渡ってくるのでしょう。
ドラマでは舞台袖に長瀬さん扮する寿一の亡霊が出てきましたが、お能に幽霊はつきものですから、あの場面の親子の邂逅は新解釈の新しい能と考えることもできます。

能は幽玄で悲しい題材も多いです。

いま、東京は桜が満開です。美しいけれど哀しいような、、、。

お彼岸

2021-03-22
桜
我が家はもともと仏式の法事やしきたりとは縁のない家です。ですのでおはぎや牡丹餅は食べますが、お彼岸だからお墓詣りということはありませんでした。

最近は無宗教の方ももちろんいらっしゃるでしょうし、樹木葬や海への散骨など、自然がお墓のような形が流行っています。父も生前、山に撒いてほしいとか海に撒いてほしいとか言っていた気がしますが、あまり本気に死と向き合っていなかったので、結局、救命措置をどうするか、という問題は現実になって医師に決定を迫られても、その時は本人の意思すら判然としませんでした。

父がよく言っていたのは初孫で唯一の男子(父は男尊女卑です(^^;)の私の子供が国家試験に合格するまでは生きたいなあ、と言っており、そのたびに、丈夫でいろいろ気を付けたり散歩も毎日しているから大丈夫だろう、、と思ったものです。

でも、父の願いは叶いませんでした。
私も、こんなに早く逝ってしまうとは思いませんでした。

子供のことの報告もありますし、別にお墓に魂が宿るとは信じておりませんが、ちょうどお彼岸にお墓参りをしてきました。
人生初かもしれません、、、。

19日にお休みしてでかけたのですが、ソメイヨシノも咲き、雪柳も真っ白に、花々は咲き乱れ、お花見が好きだった父、最後は私が運転して多摩川べりの桜を見せたらびっくりするくらい、ありがとう、と喜んでいたっけな、、、とほんの少しぽっちりの親孝行だったな、、と悲しくなります。

本当は、春の花は親に見せたくなってしまい、切なくなります。

お能の鑑賞

2021-03-18
矢来能楽堂
緊急事態宣言下で何たること!とお叱りを受けるかもしれませんが、、たまたま今放映中の「俺の家の話」というドラマを見て、不肖の息子がお能を見に行きたいと申しました。
能楽は私も初心者ですが、感染対策を講じながらの上演と存じますし、最近、私の先生に裏千家茶道を習ったり日本文化に興味が出てきたのかな、、と母子で出かけることになりました。
会場は神楽坂の矢来能楽堂。換気をするために寒いほどです。
演目は平家物語をモチーフにした「盛久」と嫁探しの狂言です。
盛久は処刑が決まっていましたが、清水寺の観世音菩薩への信仰篤く、すんでで刀が折れるという奇跡が起こります。盛久の死生観を表すのがなかなか難しい演目だそうですが、観るほうも派手さもないので上級向きかもしれません。
それでも、息子には十分楽しかったようです。

周りの皆様の支えがあって、息子も国家試験に無事合格し、希望の進路に無事進めることとなりました。合格率だけをみると、大学を出たら受かるのでしょう?、、、実は私もそのくらいに思っていました。実際、日ごろの勉強をすべて血肉にしているような学生さんには容易いかもしれませんが、殆どの学生がある程度以上の猛勉強をして、その結果、ということなのです。息子が受けた試験内容は確かに難易度がかなり高いもののように思えました。また、今年はコロナ禍もあり、学生同士で情報交換したり、勉強会をしたりということが中々できず、やはり合格率は前年と比べて少し落ちたようです。

息子は今度は博士課程に進みますし、競争の高くなってしまった研究をする一人になるので学位がとれるかどうかはわかりません。
通うことになる研究所の近くに住むために初めて家を出ます。
ですから、お嬢様を送りだす保護者の方々の気持ちが初めて身に沁みる思いです。男の子ですが、ぼんやりしていますし、持病もありますしいろいろ心配です。
でも、とりあえず親からやっと(^^;独立してくれる息子に心からエールを送りたいと思います。
皆様のお子様たちへも、、、頑張れ♪いろいろなことを吸収してくださいね。


百段階段

2021-03-02
天井画
漁樵の間
緊急事態宣言下の東京ですが、3月14日までの午後にだけ公開される、目黒雅叙園の百段階段を見に出かけてまいりました。
雛飾りも展示されており、小さな女の子を連れた親子の姿もありましたが、やはり人出はそう多くはありませんでした。

何年か前に母と雅叙園に行ったことがあります。その時も多分、この百段階段の見学に来たのだとは思いますが、私の脳裏には、雅叙園の川が流れ、橋がかかっている螺鈿細工のドアに美人画の天井画のある御不浄場の個室の強烈な印象しか残りませんでした。(笑)

皆さん高名な作家の作品なのでしょうが、私が唯一知っていたのは鏑木清方氏、、。清方が揮毫した間もあります。見ごたえがあります。

雅叙園は石川県出身の創業者が丁稚奉公から始めて、浴場経営に乗り出し、その後、中華料理の料亭として出発したようです。

イメージでいうと、ジブリ映画の「千と千尋の神かくし」の舞台の湯屋、のようなものだと思っていただければ良いと思います。
これでもか、というほど絢爛豪華なのですが、どこかカオス。

東京都の指定文化財になっている古い建物ですので、ディテールまで凝っていて面白かったです。もう少しゆっくり見たかったです。

友人とお茶を飲みたかったのですが、どこもソーシャルディスタンス制限で入れず、坂を少し下ったところにあった、ビストロのようなお店で一息つきました。ここも、あと一組のお客が居ただけで、ほぼ貸し切り状態です。

コロナ禍でホテル、飲食業、および関連産業は大打撃ですが、どうか頑張って持ちこたえて欲しいです、、、。

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