調布女子学生会館便り
映画 エドガルド・モルターラ
2024-05-21
先日、友人と恵比寿に映画を観に行きました。
何気なく目に入った、「エドガルド・モルターラ」です。御年84歳のベロッキオ(有名な彫刻家と同じ名前ですね)監督の作品で、かのスピルバーグ監督も映画化したかった実話のようです。
細かい説明が劇中でされるわけではないので時代背景など勉強しておいてから鑑賞すると、複雑な物語(事実)がいくつも浮かびあがるのでお薦めです。
都市国家の形態を伝統的に踏襲してきたイタリアが統一国家になろうとする、ちょうどローマの教皇領を併合する時期が、「誘拐」の舞台です。
原題は誘拐のようですので、そのころヨーロッパで有名になった事件なのでしょう。
裕福なユダヤ人の家の中間子のエドガルドは、メイドの「煉獄に堕ちることを免れさせなければ」という思い込みによってカトリックの洗礼を施されてしまいます。その秘密がどうやって漏れたのかわかりませんでしたが、仲良く平和に暮らしていた一家から、可愛いエドガルド坊やは強制連行されて神学校に入れられてしまいます。
家族は坊やを取り戻すために様々なことを試みますが、裁判にもなり、父は絶望の叫びをあげるのです。
母親と面会した時は、エドガルドは母の教えを守り、ユダヤ教の祈りをかかしていない、と抱き着きます。子役が天使のように可愛らしいのと対照的に大人たちの憔悴しきった顔。
教皇領にエドガルドの兄が攻め込んで、エドガルドを迎えに来た、と言いますが、その時にはエドガルドはすっかりカトリック信徒として生きることを決めていました。
ちょっとホラーだなと思ったのは、母の臨終の床に呼ばれたエドガルドが、サッと隠し持った聖水の瓶を取り出し、母に緊急洗礼を施そうとしたことです。エドガルドはそれが良い事と信じて疑いもありませんが、母は拒否してユダヤ教徒として死を迎えます。
信仰、家族愛、政治的な問題、宗教と権力、金、、いろいろと深堀りすれば盛りだくさんの映画だったでしょう。
私が感じた単純な感想は、自分の居たコミュニティーに帰れなくなってしまった子供ということです。家族にとって、たぶん幼いエドガルドにとっても引き離されることは悲劇です。でもその後、エドガルドはカトリックにすっかり洗脳され、教皇の祝福を求める敬虔な神学生となります。
母の死の前に、エドガルドをさらった教皇の死があり、市民たちは教皇の遺体をテヴェレ川に落とそうとします。エドガルドは最初必死に教皇を守りますが、いつのまにか暴徒と一緒になっているのです。教皇に対する気持ちに、葛藤もあったのでしょうか。
その後の母への洗礼を施そうという行為、、、。ただ、洗脳されたという単純な見方ではなく、エドガルドにも葛藤はあったというように描かれていると思いました。
宗教という名前で、家族を突然奪われるということは現代でもあります。戦争、宗教二世の苦しみなどが、いま、問題になっています。
そのような意味では、19世紀の事件ですが、現代にも通じることがあるのでしょう。私は人々を救済するはずの宗教で戦争になり殺しあうようなことほど、人類のすることで馬鹿々々しいことはないと思っています。
エドガルドはその後、宣教師として一生を終えたそうです。
バラの季節です
2024-05-08
今年は4月30日、5月1日、2日を休みにすると10連休になったゴールデンウィークです。
皆様はどのようにお過ごしだったでしょうか。コロナ禍でままならなかった休日ですが、今年は楽しまれたでしょうか。
私もコロナ前はいつも海外一人旅を計画して出かけるのを楽しみにしていました。海外で美術鑑賞したり、オペラやバレエ、コンサートを堪能したり、一人旅の緊張感も旅の醍醐味でした。現地の鉄道やバスを調べてチケットを買ったり、お財布をあまり出したくないので、日本で買えるチケットは殆ど手配したり、そのように計画するのも楽しいものです。
愛犬も今年で12歳になって、来年の旅も迷っていて未定なのですが、今年も家でのんびり過ごしました。学生さんも帰られる方もいれば、そのままいらっしゃる方も居ていろいろです。五月病にならないといいですね。
10年以上前からバラ栽培にハマりまして、バラ愛好家の方はおわかりになると思いますが、バラというものは毎年新品種も出ますし、どんどん増えていきます。
6階の館長宅でも今、赤いリパブリックドゥモンマルトル以外は満開です。
今年の新入りさんです。他にも新苗のエクリュがありますが、お花は来年まで我慢します。
母が好きだった紫いろのコリンクレイヴンと、よく見るYouTubeのコマツガーデンの後藤みどりさんお薦めのジュールヴェルヌです。コリンクレイヴンは大輪といってもよく、香りも良いですし、ジュールヴェルヌは小さな花ですがフルーツ香の可愛らしいバラです。
こちらはオベリスクに巻き付けた、フランスのバラ、シャトードゥシュベルニーとイングリッシュローズのガートルードジェキルです。ガートルードジェキル、良い香りなのですが棘が鉄条網のようで手ごわいのです。ガートルードジェキルは女性の造園家で、ウィリアムモリスなどと一緒に有名な屋敷の庭園などを手掛けた方だそうです。女性が仕事を持つことがなかなか難しい時代に頑張っていたのでしょうね。ラファエル前派のモデル(というのは当時とても卑しい仕事とされていたようです)だった、モリス夫人とは対照的ですね。
これらは秋にはあまり咲かないので、花が終わったら剪定してしまおうと思います。
前の庭でも育てていた、ヨハネパウロ二世。大輪で香りの良い白バラです。この花、大好きなんです。
あととっても花もちのよいダフネ。
調布女子学生会館の6階ベランダのミニバラ園でした
冬の間のお手入れが大変ですが、5月は報われる一年で一番良い季節なんですよね。旅行に行くと、このお花も満足に堪能できないというジレンマがあります。
父の誕生日、13日ごろには、きっと父の好きな赤いバラ、リパブリックドゥモンマルトルも満開になるでしょう。
花が終われば、また秋や来年に向けてのお手入れが始ります。
イフタールに参加してきました
2024-03-21
コロナ禍には行けませんでしたが、昨日の春分の日に友人と、代々木上原にあるモスク、東京ジャーミーに予約をしてラマダン(断食)明けのお食事である、イフタールにお呼ばれしてきました。四年ぶりくらいでしょうか、、。予約をすれば、誰でもウェルカムで日本語のメニューボードもありました。
お料理ですが、少し辛味のあるスープ、カレーのようなもの、マカロニにヨーグルトをあえたようなお料理です。
このマカロニ料理がたくさんあって、私もついとりすぎてしまい、すっかりマカロニ腹になってしまいました。
モスクに居る方達は皆さん親切で、どうぞどうぞと声をかけてくれたり、お菓子をくれたり、、とってもありがたかったです。また、皆さんの日本語の上手なこと。でも英語でも喋ったり、トルコのモスクですからトルコ語?でも喋ったり。
また、モスクにはハラールフードのミニスーパーがあり、ケーキなども売っています。友人が言うには、イスラム教の方達はお酒を飲まないので甘いものなどを食べながらお喋りをするのが好きなのだそうです。
お食事は薄味でとても美味しかったですが、食べ過ぎてしまいました(^^;
夜のモスクも素敵ですね。
ミモザの季節
2024-02-29
館長ひとりごとはぶつぶつと何やら更新しておりますが、こちらの調布女子学生会館便りについてはなかなか更新できていません。何とか月一回は更新したいとは思っているのですが、、、。何しろ学生さんの個人的なことは書けないので(でも、別カテゴリで学生会館で困っていること、リアルな事件などについて書いてみようとは思っています。もちろん匿名です)私の趣味とか、そのような瑣末な内容になってしまうのですが、、。
教師だった時と同じで、学生さんにとても感謝されることもあれば、希薄な関係しかつくれない時もあり、中には多分、嫌な感情を持たれているのでは、、といろいろ感じる時があります。
今年は、とても感謝してくださった学生さんが卒業され、早めにお引越しされていきました。四月から少し遠い大学の大学院に進学されるのです。
お母さまも涙を流してくださり、「ここにしてよかったです。ここでなければ卒業もできなかったです」と仰ってくださり、私も泣きそうになってしまいました。
でも私は殆ど何もしていないのですよね。やはり、大学のカウンセラーさん、調布女子学生会館の専属のカウンセラーさん、たくさんの先生たち、、、多くの人の手助けがあってこそですし、何より本人がやりとげる力をもともと持っていらっしゃったのだと思います。
また、他の学生さんもお母さまとご挨拶に来られ、こちらこそ感謝の心しかありません。
教師だった時、いろいろな生徒を見ましたが、心に残る生徒というのは、良い関係でも悪い関係でも印象深いものです。
時々、人に期待しないようになっている自分にハッと気づき、反省することがあります。
若い方はやはり、皆、純粋で素直です。
今年の卒業生は、コロナというパンデミックを越えてきた方達です。平穏なだけの学生生活なんて誰にもありはしないと思いますが、混乱の学生時代でした。
それだからこそ、それぞれの学生さんにいろいろな思い出が深く心に刻まれそうです。
私こそ、感謝の心でいっぱいです。
ありがとうございました。
三月には満開になるミモザ、イタリアにはミモザの日というのがあるそうです。
ミモザの花言葉は感謝や秘めた愛、、という奥ゆかしいものです。
見ると元気になるような黄色。春はレンギョウ、ヤマブキなど黄色い花も多いですね。
ご近所のミモザの写真です。感謝を込めて。
新春お能鑑賞
2024-01-15
先週の土曜日、友人とお能の公演を二か所梯子して鑑賞してまいりました。
午前中は府中の森芸術劇場、午後は横須賀劇場でした。
府中の森芸術劇場では、狂言は鐘の音、お能は葵の上。
横須賀劇場では、狂言は六地蔵、お能は住吉詣。
どちらも、狂言は野村萬斎さん、シテは観世善正さんでした。
某国営放送の「光る君へ」に因んで、源氏物語を題材にしたお能でした。
葵の上は、言わずと知れた六条御息所の生霊を調伏する話で、ある伝手から手に入れた古い般若の面を使ったとのこと、鬼となった六条御息所が凄い迫力でした。
住吉詣は、上演機会の少ないお能だそうで、光源氏の住吉大社詣を描いたものですが、子役が近衛に扮し、人数も多く、きらびやかな演目でした。明石の上との舞い踊りもとても美しいものでした。
さすが1月の演目ですから、着物姿の方も多く、お香が似合いそうな雰囲気でした。
なかなかできないことですが、私も着物を着て鑑賞できたらなぁ、、と思いました。
来年は調布で公演されるそうです。明日の朝イチに観世善正さんが出演するそうですので、チェックしてくださいね