調布女子学生会館便り
アッバス・キアロスタミ監督の映画を観ました
2026-08-31
目が悪いからあまりスマホやiPadの視聴は良くないと思いつつ、友人がお勧めしていたイランの監督アッバス・キアロスタミ監督の作品をアマゾンプライムで鑑賞しました。
イラン政府の弾圧のもと、子供の映画なら撮っても良いと許可が出たらしく、
「友達の家はどこ?」とその続編でイランの1990年の大地震後の「そして人生は続く」の二本です。配信がたぶんもう終わってしまったのですが、コケールという集落を舞台にした、コケール三部作と言われているそうで、最後の一本は残念ながら観られませんでした。
友達の家はどこ?は同級生のノートを間違えて持って帰ってしまった少年が、遠い(大人の足で45分以上はかかるようです)隣の集落、しかも家の場所も知らないままさまよう映画です。
淡々としてドラマティックではないけれど、現地の人々の生活、学校の厳しさ、大人の厳しさなど表現されていて、この子は無事にノートを届けられるのだろうか?とハラハラさせられます。
1990年に地震があり、現地の人の言葉では「コケールは全滅した」と言われています。
説明は何もありませんが、映画の関係者とその息子が車に乗って、友達の家はどこ?の主演のアブドゥルくんを探しまわるという映画が「そして人生は続く」です。これも、監督の茶目っ気なのか、前作同様に少しハラハラさせます。
大地震が起こり、日干し煉瓦の家は悉く崩れ、皆、親戚、きょうだい、親などなくしています。前作で出てきた、主人公の少年のおばあちゃんなどは無事だったのだろうか、、、と考えてしまいます。
地震で家族をなくして五日目でも、ワールドカップの最中で、みんなテレビやラジオ中継でしょうか、楽しみにしています。アンテナを建て、ワールドカップを楽しもうとする若者に「家族がなくなったのにワールドカップが見たい?」と車でやってきた男が聞きます。
「ワールドカップは4年に一度だよ!生死は神のみ旨だよ!」と若者は笑顔で言います。
女性たちは、おそらく悲しみを飲み込んで、いつものように洗濯をしたりしています。
砂漠の民の死生観は、湿った日本よりあっけらかんとしているのかもしれない、、、。
アブドゥルは出てきませんが、きょうだいとストーブを運んでいるよ、と聞き、長い登り切れないような坂道を車は登ります。
ジグザグの急坂、友達の家を探して少年がすごいスタミナで走り回った坂、車がエンストしそうになりながら登っていく坂、生き残った人たちが去来する坂。
道が続くように人生も続くのです。イランは今、戦争中、、、というかホルムズ海峡をめぐり、核開発をめぐり、攻撃されたり攻撃しかえしています。キアロスタミ監督はなくなられましたが、今のイランをどう思ったでしょうか。
大地震や大災害、戦争が起こっても、人が生きている限り人生は続くのです。
なかなか含蓄のある映画だったと思います。アマゾンプライムでの配信はもう終わってしまいましたが、ご縁があったらぜひご覧になってみてください。