調布女子学生会館便り
調布女子学生会館便り
台東薪能に行ってまいりました
2024-08-01
昨日の昼間は晴れて、酷暑日でした。
去年も台東薪能を観たのですが、野外の暑さ、また火が入ることによって増々灼熱の暑さだったような、、、そんな思い出があって覚悟を決めてから出かけましたら、雨の予報があったので浅草公会堂での舞台でした。残念のようなホッとするような。公会堂は涼しくて快適でした。
番組は、能「清経」、狂言「蝸牛」、能「一角仙人」です。
清経は二十歳そこそこの笛の名手の若公達、いよいよ平家滅亡の刻を知り、若妻に遺髪を残して入水し、その遺髪を届けた淡津三郎が妻の驚きと悲嘆、拒絶に遭い、八幡宮に納めてしまう。その後、妻の夢枕に立った清経の霊が「なぜ鬢髪を受け取らなかった」と妻をなじり妻も「(無事に還ると思っていたのに)約束が違う」と嘆きなじることから清経の舞がはじまります。
題材からして静かでそれこそ幽玄な内容なのですが、清経の舞の足の音が時々ダン!と鳴り響き、若いみそらで儚くなるべき運命の悔しさ、恨みなども込められているように思えましたが、若い男の面をつけた観世善正さんはすっかり美少年に見えるし、少年と少女のような若い恋人たちの悲恋であり、夢のごとし平家の栄華と没落の悲哀を感じます。妻の動きは殆どないのですが、清経が舞い終わり去っていく時に立ち上がり見送ります。美しい若女の面と中将の面が若々しく、それが哀しみを誘う演目でした。面をつけるだけで、なりきれる能楽師が素晴らしい。
狂言もバカバカしくもわかりやすく面白く、観客から笑いが出ました。
最後の一角仙人ですが、龍神を封じ込めた一角仙人をだまして、龍を解放し雨を降らせたいと美女を送り込みます。施陀夫人です。勧められる酒に手をつけてしまった仙人は龍を逃がしてしまった、という狂言にも通じるような面白可笑しい演目です。
もちろん私は観るのは初めて、台東薪能でも初めての演目だそうです。
まず目を惹いたのが、運びこまれる大道具の多さ。そして輿に乗って現れる美女の美しいこと。
華々しく、華麗でちょっとおかしなお能はとても素晴らしかったです。清経との対比も良かった。
写真はフォトセッションで撮らせていただいた、施陀夫人と振られてしまう一角仙人です。なんだか可笑しいですよね。