本文へ移動
ほっとする、安心できる、
アットホームな女子学生専用学生寮です。

館長ひとりごと

2024-02-08
今日も東京は寒いですが穏やかな晴天です。日が出ているので暖かくなるでしょう。

漫画家の芦原妃名子先生の急死、私はとてもショックでした。芦原先生の代表作「砂時計」「Piece」など大好きですし、問題になっている「セクシー田中さん」もコミックスで愛読していましたので、続きが永遠に読めないことに絶望してしまい、とても悲しいのです。
題名がコメディーのようですが、田中さんは子供のころから地味な見た目で友達もできず、教室に居ても息苦しくなるだけなのでただひたすら勉強し、公認会計士の資格もとって会社ではAIと呼ばれるようなアラフォー女性です。
田中さんのスタイルの良さに目をつけ、ひそかにファンになる朱里は、大学進学したかったのに、親のリストラで「朱里は短大でいいわよね」と母に言われ、本当の気持ちを飲み込むような、モテモテで可愛いけれど複雑な気持ちを抱えています。
作者も書かれていましたが、この作品のテーマはそれぞれの自己肯定感の高さ低さで、田中さんは自分に自信はありませんが、他人をちゃんと尊重できる人で、だからこそ尊重される、その事実に気づいた朱里や他のダメな登場人物も少しづつ成長していくというヒューマン作品なのです。
ドラマは見ていませんが、先生はコミックスにもドラマ化のお知らせを直筆で載せていて、自分の変えられない思いをつづっておられ、そこが放送では全く上手くいかなかったのだな、、と思うととても悲しいです。
砂時計、という作品では母の自殺という重いテーマを書かれていらっしゃったのが、また今思うとたまらなくやるせないです。

私は小説も好きですが、漫画も読みます。芦原先生のようなストーリーテラーだと、もう文学を超えていると思ったりします。漫画が下の文化だと思っている人も多いかもしれません。
それは間違いだと思いますし、そのような日本の誇るべき文化である漫画を軽んじる昔気質の人たち、企業、社会構造が先生の命を縮め、文化遺産をひとつ失わせることになったのだと思います。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

TOPへ戻る